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そう言って、私も笑みを浮かべた。 「じゃあ、帰りますね」 あきらくんが頭を軽く下げた。 「うん、またおいで」 そう言って、手を振ってあきらくんを見送った。 そして、玄関のドアが閉まったあとでリビングへと戻りながらふと思う。 「またおいでか…」 自ずと出た言葉に自分でも驚く。 いつのまにか、またあきらくんがここに来ることが私の中で当たり前になりつつある証拠だ。 「さあ、お風呂入って寝よ」 リビングで独り言を言って、浴室へと向かった。 ◯ 次の日の火曜日、この日はあきらくんとは約束していない。 そして、仕事から帰宅して少し寂しい時間を過ごした。 でも、その日の夜はあの夢を見なかったのだ。 そう言えば、会わなかったこの前の土日も昔からよく見る夢を見ていなかった気がする。 前世の記憶があきらくんに会わない日も満たされているということなのだろうか? あきらくんはどうなんだろ…? 気になった私は翌日の水曜日の夜にいつも通り会う約束をしていたあきらくんに訊ねた。 すると、あきらくんも最近はあの夢を見ないらしい。 そのことに妙に納得するも、きっとあきらくんと会わなくなれば私の前世の記憶がまた私に夢を見せてくるのくるに違いない。 でも、その考えは敢えてあきらくんには言わなかった。 …だって、不覚にも今はこの不思議な関係を続けていたいと思ってしまったんだ。 水曜日の晩御飯は豚しゃぶだった。 そのあとで月曜日のオセロのリベンジマッチをする。
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