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たかしさんに別れを告げた時のことを思い出しながら言った。 「…後悔している。別れるべきじゃなかった…」 「…いいえ、別れて良かったの。私たちはもうただの上司と部下。私はもうあなたを愛してなんかいない…」 両手を下げて、たかしさんに視線を向けてはっきりとそう告げる。 たかしさんは私の眼差しを真っ直ぐに受け止めていた。 「…そうか。残念だけど仕方ない…もっと早くにこっちに戻ってくるべきだった。月日は人の気持ちを変えてしまう…」 たかしさんの言葉に首を横に振った。 「…違う。月日なんて関係ないわ。あなたに奥さんと別れるから一緒に大阪についてきて欲しいと言われた瞬間に目が覚めたの。私は人の幸せを壊してまで幸せを得たいとは思えないって…」 私の言葉にたかしさんがせせら笑う。 その表情に思わず顔を顰めた。 「なるほど…不倫という関係なら良かったってことか。俺が家族を捨てて君を選ぶことに私はそんなことまで望んでいなかったと君の心は醒めてしまったのか…」 「違う!そうじゃない!ただ、私はあなたの家庭を壊してまであなたを求めたくなかった…!」 私は荒々しく机を叩いて椅子から立ち上がった。 「落ち着けのりこ…そんな大声を出すと誰かに聞こえる。あくまで俺たちは仕事で相談をしている体なんだ」 たかしさんの言葉が私の感情を逆撫でする。 「…あなたが私を騙したんでしょ?」 声のボリュームを下げて、彼に怒る。
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