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…そういえば今日は午後から雨だと朝のニュース番組の天気予報で言っていた。
折り畳み傘はデスクに置いてきてしまったので、手元には傘がない。
取りに戻ればいいだけなのだが、疲れ切った私の精神がそれを拒む。
…早く帰りたい。
取りに帰れば、部長…たかしさんに出会す可能性がある。
そうなれば、今以上に精神的ダメージを負い兼ねない。
仕方ない…このまま帰ろう。
そう決めて、雨の中へと飛び込んでいく。
始めは少し駆け足で駅へと向かったが、段々と速度が落ちてくる。
会議室で話した最後の彼の表情が頭から離れないせいだ。
やがて、雨に打たれながらもゆっくりと歩くようになる。
駅に着いた時、割と濡れていたが周囲にも傘がなくて雨に濡れた人がちらほらいたので目立つことはなかった。
朝は雨が降っていなかった影響だろう。
電車に乗ると席は空いていたが、服が濡れていたので座席には座らずに扉の前に立っていた。
電車が発車して、地下を走行する窓からの景色は当然真っ暗で、そこには自分の情けない表情が映り込んでいる。
…傷ついたような顔してる。
これじゃ、まるで被害者面じゃないか？
違うでしょのりこ？
あなたは加害者なの…たかしさんの家族を崩壊させた最低な女なのよ？
たかしさんを誘惑しておいて、たかしさんが家族より私を選んだら、怖くなって私は逃げた…
私は悪くない…そんなつもりじゃなかった…最低だ。
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