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「不倫という関係なら良かったということか」
会議室でのたかしさんの言葉が頭の中で反芻する。
…そうじゃない。
けれど、もしかしたらそうなのかもしれない…
私はたかしさんの家庭が壊れなければ…不倫がバレなければ、関係を続けても良かったのかもしれない…
結局、私は自分のしたことが悪いことだと認めたくなかったんだ。
電車がいつも降りている駅に到達した。
私はふらりと電車を降りる。
そして、改札を出るとさっきよりも雨脚が強くなっていた。
駅には誰かの迎えを待つ人や鞄などを傘がわりにして駆けていく人がいる。
でも、私は躊躇なくその中へと足を踏み込んでいく。
走ることもなくただゆっくりとあきらくんが待っているマンションの私の部屋へと向かう。
この雨に打たれも私の罪が流れることはない。
それでも雨に濡れていたい気分だった。
これなら涙を流していても誰も気づかれない。
何がいけなかったのか…何を間違えたのだろうか？
ひたすら頭の中で自問自答を繰り返す。
結局、私は彼のことを愛していたの？
先日、あきらくんに言われたように単に私はたかしさんに流されていたんじゃないだろうか…
分からない…もう何も分からない…
ただ、自分のことが堪らなく嫌になった。
いっそのこと、この雨に溶けて消えてしまいたい…
なんて訳が分からないことを考えていると、急に雨が当たる感触が消えた。
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