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「分かりました。取ってきますね」
至近距離であきらくんが笑みを浮かべながらそう言って、踵を返して洗面所に行こうとする。
その時だった。
私は自分でも驚くような行動に出てしまう。
あとになって、何であんなことをしたのだろうと思うくらいに…
「…のりこさん?」
あきらくんが私の方に顔だけ向けた。
私は洗面所に行こうとしたあきらくんのTシャツを掴んで止めたのだ。
私は黙ったまま、あきらくんを見た。
私がゆっくりTシャツを離すと、あきらくんが私の方に向き直る。
そして、目と目が合った。
これは前世の記憶の悪戯だろうか…?
気がつくと私は彼の腰に手を回していた。
私は目を瞑り、彼の唇へと吸い込まれるように顔を近づけていく。
私の背中に彼の手の感触が伝わる。
私たちは唇を優しく重ねた。
一度、離して目を開けて彼を見る。
彼も目を開けて私を見つめていた。
それから、まるであの夢ように激しく唇を求め合う。
そして、あの夢と同じように互いの衣服を脱がし、身体を重ね合った。
これは互いの前世の記憶がさせたのかは分からない。
ただ、私はこの時、間違いなく彼を愛していた。
それは前世の記憶の影響ではない。
私はあきらくんを好きになってしまったのだ。
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