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入学式の日だ。
私が和月くんに恋心を抱いてしまったのは…
「じゃあ、また後でね」
高校の校門をくぐってすぐのところでシンプルなセミフォーマルワンピースを見に纏ったお母さんがそう言って私に手を振った。
隣でスーツ姿のお父さんも同じように私に手を振る。
私は両親に手を振って、案内に書かれていた教室がある校舎へと向かった。
見慣れない顔が多いけれど、同じ中学だった知ってる顔もたくさんいる。
校舎に入ると、私はいつの間にか顔馴染みの何人かで廊下を固まって歩いていた。
「どのクラス?」
「私は2組」
「おっ、俺と同じクラスじゃん」
「げっ、私もだわ。また、アンタと同じなの…」
「あっ、俺も2組。よろしく」
「えっ〜みんな2組?じゃあ、俺だけ違うクラスかよ…寂しいよ〜」
「めいは3組だよね?なら、寂しくないじゃん」
「…いや、俺は1組だ。ああ…さとうは3組なんだ…重ねてショック…」
「気を落とさないで北条くん。私も一人だよ」
と北条くんの肩に優しく触れた。
すると、藤島くんが間にグッと入ってくる。
「さとう。寂しいときは言えよな?隣のクラスから飛んでいくからさ」
と言った藤島くんの後ろ襟を掴んで、かおりが力強く藤島くんを退かせた。
「アンタは行かなくていいの。私とともみが行くから」
かおりが藤島くんに顔を近づけて忠告した。
かおりが藤島くんを好きなことは知っているので、思わずクスッと笑ってしまう。
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