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席へと移動する際、保護者席に座る両親と目が合った。
そして、席に着き、新入生全員が着席したところで入学式が始まる。
順調に進行していき、新入生代表の挨拶の場面になった。
私の知り合いには代表の挨拶をするという生徒はいなかったので、誰がやるのかは知らない。
「新入生代表、和月あきら」
先生に呼ばれて、後方で音と共にはいと言う返事が聞こえる。
パッと振り返ると、例の背の高い男子が壇上へと歩いていく姿が見えた。
あの人がやるんだ…
と他人事のように壇上へと上がる彼の姿を見ていた。
見ている限り、彼に緊張している様子はない。
しかも、随分と落ち着いている。
そして、彼は真っ直ぐこちらを見ながら、代表の挨拶を述べた。
素直にわぁー凄いと思ったのは確かだ。
しっかりしていてるし、背が高くそれでいて顔が良い。
周囲を軽く見渡すと、彼に見惚れている女子生徒が何人かいた。
それは仕方ない。
私たちの年頃にとって、大人びた彼は特に輝いて見える。
でも、私は苦手だ。
尚更、仲良くなる要素はないだろう。
と言っても、まだ恋がよく分からない。
本気で誰かを好きになるとかが私にはよく理解出来ないんだ。
かおりは藤島くんのことが好き。
冨樫くんはともみのことが好き。
それは知っている。
…でも、実際のところはよく分かんないんだ。
こういう気持ちを誰かに相談したいけれど、思い当たる相談出来る相手とは最近会えていない。
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