エピソード1 さとう めい

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「はい」 彼は笑顔を浮かべながら、キーホルダーを私に手渡した。 「大切な物だったんでしょ?見つかって良かったね」 私にキーホルダーを手渡した彼が言った。 「…ありがとう」 お礼を言った時、私はまだ彼の名前を知らないことに気がついた。 「良かったね見つかって」 「だな。次は失くすなよ?」 彼の友達が私のキーホルダーを除き込んで言った。 「…あの、二人も探してくれてありがとう」 それぞれの顔を見ながら礼を言った。 すると、二人とも照れたような仕草を見せる。 少し抱いていた印象と違ってホッとした。 「俺は和月あきら。こっちは小畑とおるでこっちは藤沢たけし。一年間、よろしくね」 彼らの人柄に安堵した矢先、目の前で突然自己紹介される。 「…あっ、私はさとう めいです。こちらこそよろしくお願いします」 慌てて、名乗り返した。 「て、同い年だよ俺ら?敬語はおかしいでしょ」 小畑くんが私の自己紹介を聞いてクスッと笑った。 「だな。もっと気軽でいいぞ」 と藤沢くんが笑みを浮かべる。 「だってさ。仲良くしてやってよ。こいつら女子の友達少ないからさ」 和月くんがそう言って、二人を揶揄う。 「少なくない…こともないか。余計なこと言うなよあきら…」 小畑くんが和月くんを睨んだ。 「お前もだろ。てか、男子含めても友達と言えるやつは俺らくらいなもんだろ?」 藤沢くんがそう言うと、共感するように小畑くんが頷く。
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