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「はい」
彼は笑顔を浮かべながら、キーホルダーを私に手渡した。
「大切な物だったんでしょ?見つかって良かったね」
私にキーホルダーを手渡した彼が言った。
「…ありがとう」
お礼を言った時、私はまだ彼の名前を知らないことに気がついた。
「良かったね見つかって」
「だな。次は失くすなよ?」
彼の友達が私のキーホルダーを除き込んで言った。
「…あの、二人も探してくれてありがとう」
それぞれの顔を見ながら礼を言った。
すると、二人とも照れたような仕草を見せる。
少し抱いていた印象と違ってホッとした。
「俺は和月あきら。こっちは小畑とおるでこっちは藤沢たけし。一年間、よろしくね」
彼らの人柄に安堵した矢先、目の前で突然自己紹介される。
「…あっ、私はさとう めいです。こちらこそよろしくお願いします」
慌てて、名乗り返した。
「て、同い年だよ俺ら?敬語はおかしいでしょ」
小畑くんが私の自己紹介を聞いてクスッと笑った。
「だな。もっと気軽でいいぞ」
と藤沢くんが笑みを浮かべる。
「だってさ。仲良くしてやってよ。こいつら女子の友達少ないからさ」
和月くんがそう言って、二人を揶揄う。
「少なくない…こともないか。余計なこと言うなよあきら…」
小畑くんが和月くんを睨んだ。
「お前もだろ。てか、男子含めても友達と言えるやつは俺らくらいなもんだろ?」
藤沢くんがそう言うと、共感するように小畑くんが頷く。
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