エピソード1 さとう めい

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「はいはい。そういうことにしとくよ」 和月くんが二人を宥める。 でも、和月の言葉が気に食わなかった二人は余計に反発して、和月くんの首に手を回したり、腕を冗談っぽく叩いたりした。 その光景を見て、思わずクスッと笑う。 すると、三人の視線が一気にこっちへと注がれた。 「えっ…?あっ、ごめん。仲良いんだなって思って…」 と笑った理由を素直に話す。 「まあね。仲は確かにいいかな」 和月くんが恥ずかしげもなくそう言うと、小畑くんも藤沢くんもそれを聞いて頬を赤らめた。 初めは仲良くなる要素は少ないと思ったけど、どうやらそうでもなさそうだ。 「…女子の友達少ないって言ってたけど、この教室に来た時、三人とも女子と話してたじゃない?」 数時間前のことを思い出して言った。 「…あれはあきら狙い。俺たちはオマケ」 「そうだな。女子の視線はあきらに向けられてたな。俺たちはなんとなく話に入ってたみたいなものだ」 小畑くんと藤沢くんの僻みに思わず目を丸くする。 たしかに和月くんはモテるだろう。 でも、二人も充分イケメンだし、彼らに集まってきた女子全員が和月くんを見ていたようには見えなかった。 「…そうかな?和月くんだけ目的には見えなかったよ。二人も充分モテると思う。あくまで遠目から見ていた私個人の意見だけど」 私の言葉に和月くんがクスッと笑った。 小畑くんと藤沢くんは顔が真っ赤だ。
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