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5
目を瞑っていても眩しさが感じられていたのに、落ち着いた気がしてカノラは目を開けた。
青空の下、天井がなく、壁の崩れた広い部屋のようなところにいた。どこ? と崩れた壁から外を見る。
鬱蒼と木々が密集しているところと、土砂崩れの後のように、地面が露になった部分が見下ろされた。
カノラは視線を自分のいる広い部屋のようなところに戻し、振り返って思わず凝視した。
神様を祀られていたような祭壇があり、そこに宝飾品が雪崩れるように沢山供えられていたのだ。
プラティが言っていた財宝? ってことは、
「ここって、フィオレ王朝のお城?」
眩いまでの、宝飾品に近付いた。宝石に指輪やネックレス。煌びやかな食器類。豪華な鏡まである。
カランデュラがカノラを助けたとき、彼はこのように城にきて、ここからカノラがいたところに来たのではないか。
カノラはハッとした。
こんなに簡単に城に来られるのに、何故カランデュラはメイズ山から帰ってこない者たちを助けに行かなかったのか。
その理由に考えを及ぼしていたさなか、宝飾品の鏡に黒い影が映った。その影がカノラにサーベルを振りかざす。
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