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「デュラ先生! プラティを探してください!!」  カランデュラは立ち止まり、ゆっくり振り返った。 「プラティの知り合いか」  ぬかるみに足を取られながら、どうにかこうにかカランデュラに追いついたカノラは頷いた。 「筋のよい男だったが、一年も練習をさぼっている奴など、どうでもよい」  言い捨て、歩き出すカランデュラの腕をカノラは掴んだ。  プラティがいい加減な人間でないこと、豪雨災害に遭った村のために、財宝を探しにメイズ山に入って、未だに帰って来ないことを懇々と説明した。 「なるほど。だが、一年も帰ってきていないのなら、助かっていないのではないか?」  掴まれた腕をほどいたカランデュラは、自分の放った言葉に衝撃を受けているカノラにお構いなしだった。 「亡くなった人間を探すために、襲ってくる野鳥や獣を私が手に掛けなければならないのか?」  カノラは急いで首を振った。 「生きています。プラティは絶対に生きています」 「……信じたい気持ちは分からぬでもないが。私はプラティを探し出したい、とは思えぬ」  カランデュラが歩を進めようとした。 「待ってください。では、私が探し続けます。だから、私に剣の指導をしてください!」  カノラの言葉に、カランデュラが振り返る。カノラを頭の天辺から、足元まで一通り見て、 「弟子になりたい、と?」  野鳥や獣がいるのだ。剣の技がなければ城跡にはたどり着かないだろう。カノラは真剣なまなざしでカランデュラを見たまま頷いた。  いきなり、カランデュラが柄の方を向けてサーベルをカノラに差し出した。 「持ってみろ」  初めて間近でみるサーベルに、カノラはたじろぐ。カランデュラは、気だるそうにサーベルをグイッとカノラに近づけた。  おずおずと両手を出すカノラ。サーベルを持ったところでカランデュラが手を離した。 「あっ」  ズシリと重いサーベル。思わず落としそうになってふらつく。そんな様子を確かめたのか、サッとサーベルを取り返すカランデュラ。 「諦めろ。刀も持てぬ弟子などとらぬ」  話は終わったとばかり、今度こそ歩き出したカランデュラ。カノラは慌てて追いかけるのであった。
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