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でも十五歳の半端な決意は、そこから散々に試される。
朋希の祖父の急死に俺は打ちのめされた。たった数回会っただけなのに、父親も祖父も知らない俺には憧れの存在だった。そのうえに心身に傷を受けた朋希が登校できなくなった。
その時までお互いの家族について踏みこんだ話はしていなかった。事情がありそうなのはわかっていたけれど、俺に自分のことを話す勇気がなかったからだ。
でも朋希の不調の原因が幼い頃からの養育環境だと、はからずも知ってしまった。悔しかった。忘れかけていたもやもやとした感情に囚われそうになる。でもそのたびに朋希の小さなありがとうが、胸を温めてくれた。
もやもやは溶けてなくなった。
「朋希が戻ってくる日まで、自分にできる全部をやろう」俺の決心は朋希を取り戻したい自分自身のためだった。ただ彼の笑う顔が見たい。子どもっぽくて、でも切実でシンプルな情動だ。
朋希の保健室登校が始まり、遅れが心配な勉強についてはクラスのみんなも協力してくれることになった。クラス委員の藤田さんが声をかけてくれたらしい。
彼女はソフトテニス部の部長もしており、毎日欠かさず花の手入れをする朋希を見ていたという。彼が世話をしたプランターにたくさんの花が咲くと、校庭のフェンス越しに足を止める近隣住民がいたり、美術部員が写生をしていたそうだ。「応援したくなるくらい頑張り屋だよね」と言われ、思わず「そうなんだよ!」と答えていた。自分のことのようにうれしい。
勉強時間以外はふたりで土いじりをしたり、彼が作ってくれたご飯を一緒に食べた。目が覚めている時間のほとんどで、朋希のことを考えていた。
彼がようやく教室に戻ると、最初は傍観していたクラスのみんながとても喜んでくれた。朋希はとまどいながらも俺以外の友だちと笑っている。ちょっとだけおもしろくないが、うれしい気持ちは誰かと分けあえば大きくなるのだと知った。
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