第2話 恋に落ちる

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「読む本決めた?」 千紘から聞かれ、私は何冊か候補の本を見せた。 「この3冊で迷ってる」 「全部恋愛小説じゃん」 千紘が少し驚いた顔をする。 「うん」 私は頷く。 「珍しい。いつもはミステリー系が多いのに」 千紘が意外そうに私を見た。 「告白された時の女の子の気持ちが知りたくて」 私が言うと、千紘は苦笑いする。 「いや、小説から答え出そうとするなよ」 「だった分からないんだもん」 私はテーブルに置き、椅子に座った。 「告白された時さ、進君から私のこと支えたいって言われたの」 「え、いいじゃん」 千紘は、私の向かいに座る。 「そう? なんか違うんだよな」 「どういうこと?」 千紘が首を傾げる。 「支えたいって一方的じゃない? 私の気持ち無視して、私のことを所有物にするみたい」 私が言うと、千紘は少し困った顔をする。 「じゃぁ俺がドリンク渡したり話を聞いたりするのも、彩からしたら一方的なことなの? 少なくとも俺も、彩のこと支えているつもりなんだけど」 「そんなことない。ほら、千紘は友達だから。友達が友達を支えようと思うのは自然なことなんじゃないかな? 私も千紘のこと支えたいって思ってるよ」 千紘から言われ、私は慌てて首を振った。 「多分進君も、俺等見たいな気持ちで言ったんじゃない? 彩は考えすぎだよ」 「確かに」 千紘からのアドバイスは的確で、素直に聞くことができた。 「本、やっぱりミステリーにする」 「なら今日は俺が恋愛読もうかな」 「え、似合わないよ。いつもファンタジー系しか読まないじゃん」 「いいだろ別に。気分転換だよ」 私は千紘といる時間が好きだ。他愛もない話をして、笑い合う時間が好きなんだ。
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