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「読む本決めた?」
千紘から聞かれ、私は何冊か候補の本を見せた。
「この3冊で迷ってる」
「全部恋愛小説じゃん」
千紘が少し驚いた顔をする。
「うん」
私は頷く。
「珍しい。いつもはミステリー系が多いのに」
千紘が意外そうに私を見た。
「告白された時の女の子の気持ちが知りたくて」
私が言うと、千紘は苦笑いする。
「いや、小説から答え出そうとするなよ」
「だった分からないんだもん」
私はテーブルに置き、椅子に座った。
「告白された時さ、進君から私のこと支えたいって言われたの」
「え、いいじゃん」
千紘は、私の向かいに座る。
「そう? なんか違うんだよな」
「どういうこと?」
千紘が首を傾げる。
「支えたいって一方的じゃない? 私の気持ち無視して、私のことを所有物にするみたい」
私が言うと、千紘は少し困った顔をする。
「じゃぁ俺がドリンク渡したり話を聞いたりするのも、彩からしたら一方的なことなの? 少なくとも俺も、彩のこと支えているつもりなんだけど」
「そんなことない。ほら、千紘は友達だから。友達が友達を支えようと思うのは自然なことなんじゃないかな? 私も千紘のこと支えたいって思ってるよ」
千紘から言われ、私は慌てて首を振った。
「多分進君も、俺等見たいな気持ちで言ったんじゃない? 彩は考えすぎだよ」
「確かに」
千紘からのアドバイスは的確で、素直に聞くことができた。
「本、やっぱりミステリーにする」
「なら今日は俺が恋愛読もうかな」
「え、似合わないよ。いつもファンタジー系しか読まないじゃん」
「いいだろ別に。気分転換だよ」
私は千紘といる時間が好きだ。他愛もない話をして、笑い合う時間が好きなんだ。
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