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1ヶ月後の放課後。その日は全校部休で、私はまた教室で本を読んでいた。
「あ、いた」
声がした方を見ると、彼が教室の入口に立っていた。
「私?」
千紘ではないことを不思議に思いつつも、私は彼を教室の中に招く。
「うん。感想言いたかったんだ」
「感想?」
私が聞き返すと、彼は頷いた。
「前に教えてくれた本、読んだんだ」
「そうなんだ」
まさか本当に読んでいるとは思っていなかったため、少し驚いた。それと同時に、嬉しい気持ちになる。
「どうだった?」
私が聞くと、彼はリュックの中から1枚のプリント用紙を取り出した。
「主人公なんだけど、無口で無表情でどんな時でも冷静に謎を解いていくのがかっこいいと思った」
「分かる」
私は頷く。
「でも相棒と出会って、だんだん感情が表に出るようになって行くのが良かった。特に相棒が行方不明不明になった時、取り乱しながら相棒を探す場面なんて何度も読み返すくらい好きだった」
「私もそこ好き」
私は頷きながら、ちらりと彼の持っているプリントを見る。
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