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進君とは、あれからよくLIMEでやり取りをするようになった。
『先生のカツラがずれていた』とか『小テストがだるい』とか内容はくだらないことばかりだったけど、メッセージをチェックすることが楽しみになっていた。
そんなやり取りが日課となった、高校1年生の冬。
テスト期間の放課後の教室。その日は、進君と一緒に本の感想を言い合っていた。ただ、少し進君の様子がいつもと違うように感じていた。
いつもより口数が少ないな。もしかして体調悪いのかな。そう思っていた時、進君から声をかけられる。
「彩、話があるんだけど」
「どうしたの?」
進君の真剣な表情に、思わず姿勢を直す。
「俺、彩のこと好きなんだ。付き合ってほしい」
時間が止まったように感じた。言葉と意味がなかなか合致しない。
「なんで?」
やっとの思いで私は口に出す。
「可愛いなって思った。隣で支えたいなって」
言葉の意味を理解した私は、深呼吸する。
「ごめん。友達でいよう」
これが、最初の告白だった。そしてこの前が、2度目の告白。
進君のことは嫌いじゃない。むしろ好きなくらいだ。だがこれは、友達としてではないのだろうか。
『明日の放課後、少し時間ほしい』
先程送られてきたばかりのメッセージを見て、私は進君のことを考えていた。
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