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放課後。クラスの女子が、お花見に行こうと話していた。そういえば、今年はまだお花見行ってないな。そんなことを教室で1人考える。少し経って、教室のドアがゆっくりと開いた。
「待たせてごめん」
進君が、入り口に立っている。顔が少し赤かった。
「どうしたの?」
私は、いつもと同じ態度を意識する。
「やっぱり諦めきれなくて。好きです」
進君は、まっすぐ私の目を見て言った。
「振られてから、ずっと考えてたんだ。でもやっぱり、彩のこと支えたいと思った」
そう言う進君の声は震えていた。堂々の立っているように見えるのに、よく見ると手も少し震えている。
「ごめん、緊張してて。こんなダサい奴からは支えられたくないよな」
進君が苦笑いする。
「ダサくないよ。進君は十分かっこいい」
私は首を振った。
「なんか、俺の方が支えられてる」
進君の言葉に、私は進君をじっと見つめる。自分の中に、いつもと違う感情があるような気がした。
「あのさ、俺、彩のこと支えられるように頑張る。だからさ、彩も俺のこと支えてほしい」
進君のことが好きだ。確信した。進君のまっすぐなところが好き。正直なところが好き。堂々としているのに震えていて、可愛いところも好き。
私は、進君をまっすぐ見て答える。
「よろしくお願いします」
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