第3話 年下の友達

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あの夜から、私達の関係は続いている。2人でお酒を買って、家で恋愛映画を観る。そして、なんとなくキスをしてベッドに入る。今日も私達は身体を重ねた。 行為が終わった後、彼は寂しそうにペットボトルを見つめていることが多い。私は、それがいつも不思議だった。 「ねぇ、無くなりそうなら新しいの買ってこよっか?」 私はペットボトルを指さす。 「あ、いえ。大丈夫です」 彼は慌てて首を振った。 「何か思い入れあるの?」 私が聞くと、彼はぎこちない笑みを浮かべる。 「そんなことないです。ただ、高校の時もよく飲んでたなって思って」 「高校か……」 「はい」 その後沈黙が続き、聞いたことを後悔した。そして、なんとか話を変えようと考えた。 「高校の時、あだ名とかあった?」 「え?」 私が聞くと、彼は少し驚いたような顔をする。 「私さ、あんまり下の名前で呼ばれないんだよね。みのりって2人いたから。池田って苗字だから、みんな池ちゃんって呼ぶの」 笑いながら言うと、彼は表情を和らげた。 「池ちゃん、可愛いですね。僕は普通に下の名前で呼ばれてましたよ」 「そっか。じゃぁ私、君のことヒロ君って呼ぼっかな」 「ヒロ君?」 彼が不思議そうに首を傾げる。 「そう、ニックネーム。私しか呼ばない名前」 私が言うと、彼は嬉しそうに笑った。 「なら僕は、みのさんって呼びます。僕しか呼びませんよね?」 「うん」 桜の花も散って緑の葉っぱが目立つようになったこの夜、2人だけど秘密の名前が生まれた。 最初は顔が綺麗でタイプだったから声を掛けただけだった。 彼氏がいるのにこんな関係を続けるのは良くない。分かっていても、ヒロ君と夜を過ごすのがやめられない。私とヒロ君は秘密の関係。『秘密』この言葉が、いつも私を安心させる。
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