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私が進君を知ったのは、高校1年生の夏だった。テスト近くで部活や同好会ができないここの期間の放課後は、よく教室で本を読んでいる。
私はミステリー小説が大好きで、その日もドキドキしながら小説を読んでいた。主人公が暗号の意味を理解し青ざめている時、教室の扉が勢いよく開かれる。
「あれ、1人なの?」
そう言い教室に入ってきたのが進君だった。でもその時の私は彼の名前なんて知らなくて、千紘の友達ぐらいにしか思っていなかった。
「千紘ならもう帰ったよ」
私が答えると彼は「そっか」と言い、背負っていたリュックを入口近くの机に上げた。
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