外出禁止だ/嗅覚の研究

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 ※ ※ ※  表通りの人混みに紛れ込んで、ギュンターの姿を探しながら、イードは道行く人々の言葉に耳を澄ました。  公用語の人族語が最も多く飛び交うが、多種多様な言語、地方特有の訛りを持った言葉が時折り聞こえてくる。  その中にはアンシア語もあって、気になって目をやれば、休憩中と見られる水夫(かこ)の姿があった。酔っ払っているのか、上機嫌に歌なんか口ずさんでいる。一昔前に流行った舞台の歌だ。 「参ったなあ。嘘ついちゃったよ」  男が奏でる甘い愛の囁きに、イードは苦笑を否めない。 「一度しか観たことがない芝居の台詞なんて、覚えてるわけないんだよな」  いつかフェリチェに知られる日が来ないことを願いながら、イードはひといきれに身を潜める。ギュンターを探しはするも、今は少しだけ無心になっていたい気もしたのだ。  目まぐるしい一日だったと、深い息をつく彼の口許には、言葉に反して、穏やかな笑みがたたえられていた。 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼ ドキッ!回でした。 おやおや、まあまあ。イードさん。 いつから、どこから自覚していたのでしょうか。 残る、主なエピソードは3話ほどです。 ハッピーエンドにじわじわ進んでおります。この後もお付き合いいただけましたら幸いです。 次回は、なんとあんなことに──!?
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