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呆れる、今日も君は帰ってこない。これで何度目だ?本当に嫌気がさす────
用事があるとか適当に言って毎日朝に帰ってくる、とにかくこの用事にイラつく。どんだけ長い用事だよ...
ガチャ...
玄関がゆっくり開く音がした。もうすっかり夜は明けている。バレないようにしたって無駄なのに...本当にしょうもない
君が廊下をゆっくり歩いてくる、もう君に対してドキドキもしなくなった
「ただいま!誠くん!」
「あのさあ、舞衣!もうやめてよ!」
「へ?何が?」
またそうやってとぼける。
もういいよね────
「だから、浮気しないでよ、もうバレてるから!」
「え?何言ってんの...?」
「いや、だから!」
「だからじゃなくて!浮気なんてしてないよ...?
ほら、これ、誠くんが欲しいって言ってたやつ!」
舞衣が手に取って出したのは、僕がまったく知らないブレスレットだった。
「ほら、ね?てか私が出掛けるとこ見てたよね、確か。予約してたブレスレット取りに行ったんだよ?だって今日誕生日でしょ?」
「あと、舞衣って呼ぶのもやめてね?そろそろさ...元カノさんの名前忘れて、私の紗南って呼んで?」
「このブレスレット...」
僕の今の彼女は元カノの舞衣によく似ていた。性格も、顔も。
違うところを強いて言うなら、浮気癖がないところぐらい...
「ねえ、紗南、このブレスレット付けてみてよ。」
ああ、僕───まだ君のことが好きみたいだ...
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