不穏

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不穏

悔しそうな紗季を堪能した後、二次会無しで解散になった。 今日は皆で奢ってくれるらしい。 (腐っても)友達ってのは、イイもんよね。 そう思って満足していると、夜目にも分かる程不安げな顔で、美波が近づいてきた。 「……あのさ、朱美。……なにか困ることあったら言ってね……」 ? 何言ってんの? 困ることなんかないけど。 探るみたいにこっちを見るのも、気になる。 「え? 実際の結婚生活の悩みとか?」 彼女の意図が分からず、そうやって混ぜっ返したのに。 「……それも含めて、だけど。じゃ、またね」 美波は(くら)い目でこちらを見ると、紗季と一緒に、駅に向かうタクシーに乗ってしまった。
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