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「うわっ」
ひょこりと顔を出したのは、小学生くらいの女の子だった。まるで子猫みたいに目が大きく額が狭い。
「びっくりさせないでよ」
「ご、ごめん」
少女はフンと小さく鼻を鳴らし、するりと室内に入って来た。猫のイラストが入ったピンクのトレーナーにデニムパンツをはいている。これで、ラベンダー色のランドセルを背負えば、最近会ったばかりの小学二年生の姪にそっくりだ。
「カプリ、彼は岸本君。もしかしたら、管理人になるかもしれない人だ」
花布里と書くとしたら北海道の地名みたいだ。
「そんな頼りなさそうな人間、必要?」
カプリと呼ばれた少女は頬を赤くして怒った。
「人間だからだよ」
「イワッチがいるじゃない」
「あの、何の話ですか?」
「まさか、説明しないで連れて来たの?」
「人柄は間違いないよ。きっと、上手く行く」
「信じられない!」
鼻息荒くそっぽを向いた。
「頼むよ、カプリ。私には階段の上り下りもキツくなってるんだ。目も悪くなってて、下へ行くほど暗いだろう?」
「分かってるわよ。そのせいで、階段を転げ落ちちゃって骨折したんだもんね」
「骨折?!」
「悪いけど、外野はちょっと黙ってて」
興奮したカプリの頬に猫の様な髭が生えた。
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