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「この下に一体何が?」
「岸本君、その荷物は置いて行ってほうが良いな。その高そうなリュックも」
荷物は管理人室に預け、ハッチから暗闇へと続く梯子に足をかけた。一体どこに繋がっているのかと不安に駆られた時、明るい火が近づいて来た。
「助かるー! って、火の玉だ!」
驚いて危うく踏み外してしまいそうになった。
「何を騒いでるの? あと数段で着くわよ」
「わっ」
地面に立っているカプリの足元に火の玉が集まっていた。
「もう良いわよ。定位置につきなさい」
火の玉が四方八方に散って、周りの様子が見えた。
「ここ、洞窟?」
壁を触ってみるとゴツゴツとした岩の様な感触だ。
「そう。元々は洞窟だった場所を広げて、私達の住処にしたの」
「……私達って」
薄々感じていた事がはっきりしてしまう。
「あなた達から見たら妖怪ってやつね」
「妖怪?」
誰かに見られている気がして周りを見渡すが、誰もいなかった。
「そんな必死に探さなくても直ぐに会えるわ。とりあえずフロントに行きましょ」
カプリは初めて笑った。
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