第五章 鬼の宿と酒呑童子

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 酒蔵の前で猩々が待っていた。 「おお、上手く話をつけてくれたみたいだな」 「猩々、大切な酒樽と知らず、すまない事をした」  酒呑童子が頭を下げた。 「いや、分かって貰えたならもう良い。和解の酒を飲もう」  猩々が酒を注ごうとして、酒呑童子が断った。 「だが、他の連中はどう思っているか分からん。また、騒ぎになるかもしれん」 「いや、頭のあんたが頭を下げたんだ、収まるだろうよ」  沈黙の酒呑童子と僕らを見て、猩々は酒の杯を床に置いた。 「二人きりにしてあげましょうか」  一つ目小僧に促され、楽しげに昼食をとる西洋チームの方へと行く。流石に僕もお腹がぺこぺこだった。 「一つ目小僧さん、管理人さん、お先に頂いています」  ドワーフがチシュー皿にフランスパンを浸して食べていた。 「日本のパンはどれも美味しいですね」 「本当、酒にも合うなあ」  ホブは食後の鯛酒を飲んで頬を赤くしている。ドラゴンは河童達にお肉の塊をレアに焼いてもらって嬉しそうだ。
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