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「……開けたらどうなるか?」
まかさ、これが最終面接がわりと言いたいのだろうか。そっと、化けつづらに手を添える。おぞましい化け物がここから出てくるかもしれない。それとも、白い煙が出て来たりして。
「うーん」
そんな、余計な心配をしていたら、地下のハッチが開いた。
「何だ、開けないんだ」
「あっ、カプリさん」
「歓迎会をやるから早く来てって」
カプリが笑顔で手招きした。
「あっ、お弁当持って来てない」
「その饅頭でも食べてなさいよ」
岩瀬への手土産だったが、仕方ない。
「分かったよ」
カプリに続いて、地下へと階段を降りる。近づいて来る火の玉も何だか懐かしい。
「皆んな張り切ってお酒やら料理やら用意していたから、少しくらいは付き合ってあげなさいよ」
「……明日に響かないと良いけど」
「その時は無理にでもぬっぺらぽうを引っ張って来るからさ。行こう、キッシー」
カプリがケラケラと笑う。近くで一つ目小僧が僕を呼んでいる声がした。
体力、気力が続く限り、この日本的ダンジョンで管理人をすると心に決めた。暗い洞窟へ降りて、その一歩を僕は踏み出した。
おわり
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