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魔剣グラムペイン
「…………うっ!」
俺、生きてる……のか?
確か居眠り運転していたトラックに轢かれたような気がしたが、気のせいだったのだろうか。
身体の痛みも特にない。
手もちゃんと動くし、呼吸もしっかりしてる。
多少目蓋は重いがそれくらいのもので、他には何も異変はない。
ただ目の前に、土色をした地面と青々と生い茂っている大自然が広がっているだけだ。
大丈夫、何も問題はない、大丈夫だ。
……どこが大丈夫なんだ。
「どこだ、ここ……俺は確か、さっきまで……」
さっきまで秋葉原を歩いていた。
こんな自然豊かな場所では絶対になかった。
なのに目の前には、高尾山を越えそうな程の木々が生い茂っている。
何も大丈夫ではない。
このまま何も見なかったことにして、もう一度眠りにつきたいくらいだ。
しかし、それは出来ない。
この土の感触や青々しい薫りが、これは現実だと突きつけてきているからだ。
よって、俺には目を開いて現状を確認する以外の選択肢はないのである。
「……これだけは言えるな。 ここ、絶対高尾山じゃないわ。 だって天井からクリスタルがびっしり生えているんだもの」
というか、多分日本ですらない。
そして、森ですらなかった。
なんだこの摩訶不思議な大自然は。
周囲は紛れもなく森なのに、遥か上空には洞窟のような天井があり、そこから無数の光が降り注いでいる。
普通の場所じゃないのは明らかだ。
なにより普通じゃないのは、俺が先程まで横になっていた空間の中心だ。
森をくりぬいたような何もない大きな空間の中心には仰々しい台座が存在感を顕にしており、その台座にボロボロな剣が突き刺さっている。
どこぞのゲームを彷彿とさせる雰囲気だ。
今にも折れそうなぐらいボロボロでなければ、の話だけど。
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