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「なんだこの剣……なんかのモニュメントか? 幾らなんでもボロボロ過ぎんだろ……あっ、抜けちゃった……」
大して力も入れてないのに抜けてしまったその剣をまじまじと見ていた、その時。
どこからともなく、機械音声みたいな声が脳内に響いた。
『──契約完了。 以後、魔剣グラムペインの使用権現は現所持者に移行されます。 移行される際に、以前取得したスキルがリセットされました。 残存スキル、身体能力強化level1』
「な、なんだ……? 頭の中で変な声が……」
残存スキル?
身体能力強化……?
この場所と良い、この剣と良い、この脳内の声と良い、何一つ理解が及ばない。
一体俺の身に何が……と、狼狽していた最中。
近くの茂みが、大きく揺れた。
「うわっ! こ、今度はなんだよ!」
更に二度、三度と動く茂み。
その揺れは次第に大きくなっていき、最も大きく揺れた次の瞬間。
「……ッ!」
半透明の物体が、勢いよく飛び出してきた。
その生き物は、ゲームとかでよく見るあの生き物。
「ス……スライム?」
のようだった。
本物は初めて見るが、これがスライムじゃなかったら何なのかというぐらい、スライムなフォルムをしている。
そいつは俺を獲物と定めているのか、ゆらりゆらりと揺れながら徐々に距離を詰めてきており、そして……。
「いっ!」
間合いに入ったのだろう。
スライムは突然飛びかかってきた。
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