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「……ガボッ!」
まずい、呼吸が……!
やはりスライムの肉体は液体だったらしく、水の中に頭を突っ込んでいるかのように、呼吸が出来なくなってしまった。
このままでは窒息死してしまう。
俺はなんとか逃げようと踠くが、液体を掴める筈もなく、なす術がない。
そうこうしていると、いよいよもって意識が遠退いてきた。
しかし、そこでふと俺の視界に、とある物が入り込む。
スライムの中に漂う赤い玉だ。
アニメや漫画では、核と呼ばれているスライム唯一の弱点。
あれが目の前にある。
空想と現実をごっちゃにするのはどうかと思うが、この際しのごの言ってはいられない。
生き残る為にやれる事は全部やってやる!
「ッ!」
俺は地面に放り投げた剣を咄嗟に拾い、核に突き刺す。
すると、ものの見事にスライムはただの液体と化し、全て地面に流れ落ちた。
「ゲホゲホッ! くそ……ガハッ!」
な、なんとか地上で溺死せずに済んだか……。
まさか本当に赤玉が弱点だったとは。
今程アニメオタクでよかったと思ったことはない。
『スライムを討伐した事により、スキル【ウォーター】level1を獲得しました。 以後、水属性魔法ウォーターを発動可能』
また変な声が脳内に響いてきた。
何度も聞こえるって事は、幻聴の類いではないのか?
俺の妄想じゃなければ、の話だが。
……とりあえず今は少し休みたい。
暫く台座にもたれて、状況を確認してみるとしよう。
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