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「ふぅ……」
まずは、分かっている事から整理してみるか。
現状確実なのは、ここが東京ではないということだ。
東京都内にこんな大自然豊かな洞窟があるだなんて聞いた事もないからな。
間違いないはずだ。
というか、そもそもここは日本なのか?
それこそ地球なのかどうかすら怪しい。
天井を覆うクリスタルに、自発的に動くスライム。
どれも現実離れし過ぎている。
現実離れしていると言えば、この剣もそうだ。
こいつを握ってからというもの、脳内にあの謎の声が響き始めた気がする。
正直、認めたくはないが、これだけ材料が揃っているのだ。
あの声が俺の妄想ではなく、実際に聴こえていると認識すべきかもしれない。
となると、こいつの名前は魔剣グラムペイン。
んで、俺は今しがた、魔法なるものを手に入れた事になる。
「……使ってみるか?」
魔法の名称からして、この魔法は水を出す魔法だと思われる。
丁度喉も渇いてきたし、この際試してみても良いかもしれない、と。
「……ウォーター!」
俺はダメ元で魔法を使ってみた。
すると────
「ま、マジかよ……」
まさか本当に出るとは。
しかも普通に美味しい。
とりあえず、水問題は解決したようで何よりだ。
水がなきゃ人間生きていけないからな。
……さて、お次はどうするか。
ここがどこにしろ、俺はひとまず今日はここで寝泊まりする他ない。
となれば、寝床は必須。
出来れば火と食べ物も欲しい。
だが、それを賄えるのは周囲の森しかない。
「どうしよ……」
ハッキリ言おう。
めちゃくちゃ怖いです。
だって、スライム一匹であの様だ。
もしあれが二匹、三匹と来たら俺は生き残れる気がしない。
死にに行くようなものだ。
が、ここに留まっても寝首をかかれて死ぬか、餓死の道しかない。
俺に選択肢など、ありはしないのだ。
「……行くしかないか…………よし!」
いざ、冒険へ!
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