自然は甘くない

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「んぐ……ふぅ」  心なしか、少し気分がよくなった気がする。  結構、即効性なんだな。  今後ももしかしたら毒をくらう事もあるかもしれない。  今のうちに、苔を出来るだけ集めておいたほうが良いだろう。  と、俺はマッシュボアの苔をくり貫いた木の実に詰め、その場を後にした。  さて、ひとまず周辺の探索は終わったな。  ある程度の方向性は見えてきた。  ここら辺で一旦木の枝で、地面に地図を起こしてみよう。    描いた地図はとてもシンプル。  まず、この中心の円は今居る台座エリア。    あまり魔物が立ち寄らない事から、ここを仮に安全エリアとしよう。  そこから北は植物モンスターエリア。  東が獣の生息地。  南がスライムなどの無機物系モンスターのエリアだ。  恐らく、魔物の生息地がそれぞれ別れている理由は、そこに生息している動植物の影響だろう。  北のエリアは羽虫が多いせいでそいつらを捕食する植物型魔物が根を下ろしており、東もまた同じで、小型の獣や木の実を狙っているマッシュボアや大型の猫魔物、ワイルドキャットの根城になっている。  南にスライム種が繁殖している理由としては、湖が関係しているっぽい。   肉体の殆どが水分だから水場を好むんだろ、多分。  なんにしろ、この三方向は気を付けさえすれば、死ぬような事は滅多にない。  問題は、西側の森だ。  あっちには何故か、凶悪な魔物がかなり潜んでいる。  ウルフやオオトカゲの魔物など、明らかに獰猛で一朝一夕ではどうにもならない魔物のオンパレード。  今の状態で行けば確殺間違いなし。  スキルが整うまでは絶対に行かないようにしなければならない。  となると攻略順は……。 「うーん、やっぱり北、東、南の順かなぁ」  理由としては別に小難しい話じゃない。  単純に、北が一番安全そうだからだ。  虫型の魔物は刺激しなきゃ何もしてこないし、植物型魔物は移動範囲がかなり狭い。  油断しなきゃ、まず負けることはないと思う。  なので今後の目標として、北の魔物を狩りつつ、スキルを増やしながら調査を繰り返し、出入口を見つける。  これがベストな指針だろう。    
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