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祖母とさくらがあったのは、桜の下。
当時は戦後の直後で、煙と焦げた匂いが立ち上る中祖母はかろうじて幹だけ残った桜の木の下で休んでいたらしい。その時、瓦礫を飲み込むさくらと出会ったのだとか。
それから祖母とさくらは2人……2人で戦後を生きて、祖父と出会った。
祖母も祖母の身元保証人も恋をした2人の結婚を認めたものの、さくらが最後まで反対していた……らしい。
2人のお揃いのものを食べ、祖母が祖父に作った料理も、贈り物も食べ。
婚約の印はそれはもう何度も食べられたらしい。
最終的に、祖父はさくらに頭を下げたのだそうだ。
……そこで、2人がどうしたのかは分からない。分からない方がいいものだろう。きっと、それは。
ただ、約束をしたのだと言っていた。
祖父とさくらの約束。
戦後を共に生きた祖母とさくら。
消えた祖母の身体。そして消えたさくら。
きっと祖父の言う通り、2人で桜を巡っているんだろう。
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