1

1/1
前へ
/15ページ
次へ

1

鬼の顔にはものすごい怒りが刻まれている。 「うおおおおお」 鬼は吠えた。 その声は、体の奥深くに響いた。 重く、念の塊のような叫びだった。 鬼は、ゆっくりと歩いていった。倒れている誰かの方へ。 そして、その誰かの側に行き、思いっきり蹴り上げた。鬼の圧倒的な力により、その誰かは壁に蹴り飛ばされた。 ドオオオン 誰かが壁にぶつかる音と、苦痛の声がした。 辺り一面に、砂煙が舞い上がる。 鬼はまたゆっくりと砂煙の舞う方へと歩いていき、 砂煙の中に見えなくなった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加