幼なじみと青い春③ 〜ないしょのお願い〜

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「ねぇ、絶対に内緒だからね」 神社の本殿の前でブツブツとお願いをした彼女が、ちらりとこちらに視線を向けながら微笑んだ。 北風が寒くまだ春は遠い。 けれどここは日当たりが良くて気持ちがいい。 ボクはふいと目をそらして丸まった。 「ちょっとぉ、聞いてるんでしょー」 なぜだかボクに話しかけてくる。 聞いてはいない。聞こえてくるだけだ。 あと、ボクはここがあったかいからいるだけだし。 「こらー、ネコー!」 何だよ、うるさいな。 昼寝の邪魔をしないでほしい。 「じゃあまたねー」 騒がしく帰って行く彼女は最近毎日のように神社(ここ)に来る。晴れの日も雨の日も雪の日も。いつも何かを熱心に祈っている。 最初はボクの存在にも気づいていないようで、「神様どうかお願いします」と大きな声で祈っていたっけ。で、あるときボクに気づいて「わあー!」と声を上げていた。 本当に騒がしい。ここは神社だぞ。彼女以外の参拝者は静かに詣って帰っていくというのに、いつも彼女はベラベラとしゃべっていく。 ボクは猫だ。話し相手になんかなれないというのに、いつも彼女の会話に巻き込まれる。気まぐれで「にゃ」と鳴いてみせれば、「やっぱりそう思う?」と嬉しそうな顔をする。 まったく、意味がわからない。
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