浮気発覚!?

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********** 「桃子、愛してるよ」  春紀はうっとりとした目で私を見つめ、頬をそっと撫でた。 「君のことで頭がいっぱいだよ。他には何も要らない」 「春くん、私も……」  私を抱き締める力は強く、身動きがとれない。 「離したくない……」  切なげな声が耳元に甘く響き、ゾクッと身体を震わせる。  ずっとこうしていたい。  いつまでも彼の腕の中で、愛されていると実感していたい。 「愛してる……」 ********** 「んふっ……んふっ……私も……愛してる……」  鼻息荒くスマホを操作する。  春紀に愛されるという妄想を繰り広げる自作夢小説も、そろそろ佳境にさしかかった。  ソファーで寛ぎながら妄想、それが休日のささやかな至福時間だ。 「んふっ……んふっ……、これ、サイトに投稿しちゃおうかな。ね、春紀」  ふと我に返って隣に座る春紀を見上げると、彼も何やら熱心にスマホを覗き込んでいる。  どことなく、顔が赤い気も。 「春紀……? 何見てるの?」  思わず覗き込んだ瞬間、春紀は焦ったように画面を消した。 「………………」 「………………」 「……何見てたの?」 「……なんでもない」 「いやでも」 「なんでもない」 「………………」 「………………」  ……怪しい。怪しすぎる。  冷や汗をかいて目を逸らす春紀。  私に見せられないものを見ていたの?  もしかして夢小説? そんなわけない。  アダルトな画像? こんなお昼間から?  ……浮気相手とのやり取り!? 「いやぁぁぁー!」 「桃子!? 落ち着け」  いや! いや! いや!  浮気なんて!  だけど春紀、さっきとても愛しそうな目でスマホを眺めてた。  まるで愛する人を思い浮かべるような目で。  あんな視線、普段私には向けてくれないのに……。 「そろそろ昼ご飯作るか」 「そ、そうだね……」  さり気なく話を逸らそうとしているし。  益々怪しい! 「俺、作るから。ももはゆっくりしてて」 「春紀?」  立ち上がりキッチンに行く春紀の背中を、キョトンとして見つめる。  やっぱりだ。  あの日職場のお弁当屋さんに来た時から、春紀の様子がおかしい。  前よりも増して家事を率先してやってくれるようになったし、プレゼントだって頻繁にしてくれる。  夜の営みだって、前よりも彼の方が積極的に求めてくれるようになった。  …………何か後ろめたいことがあるから?  一生懸命焼きそばを作り始めた彼を眺めながら、胸騒ぎにごくりと固唾を飲んだ。  
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