浮気発覚!?

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「………………」  しんと静まったダイニング。  テーブルに置かれた春紀のスマホを見つめ立ち尽くした。  目の前のパンドラの箱を、開けろと心の中の山田さんが囁く。 「………………」  だけどやっぱりそんなことできない。  人のものを勝手に見るなんて、最低な行為だ。  それに、春紀のことを信じていないみたいで悲しい。  ……やっぱり私は春紀を信じる。 「お先いただきました」 「はーい」  戻ってきた春紀に、いつものように冷蔵庫からビールを取り出す。  よくよく考えたら、本当に浮気していたらこんなに無防備にスマホを置いといたりしないよね。  心配いらないと言い聞かせ、席に座った春紀に料理を並べる。 「そういえば桃、今度食事に出かけないか?」 「食事?」  キョトンとする私に春紀は少し照れた表情で言った。 「フレンチの美味い店、教えてもらった。桃、洋食好きだろ」 「うわー! 嬉しい! でも、フレンチなんて贅沢なんじゃ」 「……たまにはいいだろ」  真っ赤になる春紀に胸がいっぱいになる。  やっぱり心配することなんてない。  春紀は私のことを大切に思ってくれている。  ふいにテーブルの上のスマホが鳴った。  彼はそれを手に取って見つめる。 「誰?」  なんてさり気なく聞いてしまう。 「あー……職場の人」 「……そう」  今の微妙な間はなんだろう。  またちょっと気持ちが揺らぐ。 「……ごめん桃。明日、飲み会行ってきてもいい?」 「飲み会……」 「グループ内で久しぶりに飲もうって」  何もやましいことはないよね?  ただの飲み会だ。 「……楽しんで!」  春紀も私のこと快く送り出してくれたんだから、私だって笑顔で了承しなきゃ。 「たまには春紀だって、ゆっくり飲んできて」  私は春紀を信じる!
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