大好きな旦那様

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岡本(おかもと)くん! 好きです! 付き合ってください!」  高校一年生の時、告白したのは私だった。  ほとんど一目惚れ。  無口で無表情、何を考えているかわからない、ミステリアスなところに惹かれて。 「映画観に行かない?」  初デートも、私から誘った。  その日の為に私、何回もデートの予行演習して。 「ねえ、チューして」  ファーストキスも私から。 「……今日は帰りたくない」  初めての夜だって私からけしかけた。 「じゃーん! お口あーんして」  初めての料理も、初めてのお菓子作りも、みんな彼の為。 「高校卒業したらさ、うちら同棲しない?」  一緒に住み始めたのも、私が頼み込んだから。 「海外旅行行ってみようよ!」 「ご両親に会ってみたい!」  二人にとっての初めては、ぜーんぶ私から。  そしてついに。 「春紀(はるき)、私と結婚してください!」  プロポーズだって私からしてしまったのだった。  大学を卒業して、就職して三年の25歳。  同棲してから実に7年。  痺れを切らしての、強行突破だった。  もうこれで、私から誘うのはおしまい。  夢の極甘新婚生活が待っている。  そんな考えが甘かったみたい。  ……実際の私達は。
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