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今日も彼女はやって来た。
「回し車を買ったら、ハム子がずっとくるくる回してて可愛いのよ」
ハム子は、彼女が飼っているハムスターの名前だ。
目の前にスマートフォンを持ってこられる。ハムスターが、GIFのように延々回し車を回す動画が流れていた。
回しても、回しても前に進むことはないのに愚直にも回し続けるそのさまは、まるで人生のようだと思った。
「ね!可愛いでしょう~~~」
彼女は同調を求めたが、私の口は、口枷でふさがれているから何も言えないぞ。
ただ、もし私が喋れたなら「君のほうが可愛いよ」と言おうと、ふと思った。
さすがにクサすぎるだろうか。
彼女はスマートフォンをしまうと、チューブを取り出し、私の腹に接続した。
「また明日」
微笑むと、病室を出て行った。
やがて空腹感がだんだんとなくなって、満たされていく。
その日、私は夢を見た。ハムスターになって、彼女の部屋にある檻の中で、回し車をくるくると回していた。
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