二章 試験

14/14
前へ
/52ページ
次へ
ニオ達が階段を下りた先は廊下になっていて、右手には扉がありその上に広間と書かれていた。 「この扉広間と繋がってんだな」扉を一瞥したルーマス達は階段から見て左側に伸びる廊下の方へ進んでいく。 二人の視線の先には外と繋がる木製の扉があり、そこからの出入りも可能となっていた。 そんな扉が廊下の端にはあり、その手前には、洗濯室と書かれた部屋とシャワー室と書かれた扉が見えた。 「お、シャワー室ニオの言う通り一階だったな」 「そうだね」 二人は外に通じる扉へ歩いていく。その扉にははめ込み式のガラスが入っている。外は原っぱのようになっていてそこには物干し竿が並べられているのが分かった。 物干し竿の置かれた除草の行き届いた原っぱを見ていた二人の耳に「おーい夕飯だから一年生は降りてきなー!」と、スラエの声が広間へ続く扉から届く。 「まぁ後は何もなさそうだし戻るか」 ニオは頷き広間への扉を開ける。 さきほどのがらりとした広間は寮生たちで埋まっていた。 食事の際は男女は問わず、渡り廊下で繋がっている女子寮から女子寮生も来ておりテーブルに着席していた。 テーブルは学年分けされていて広間に置かれた三つのテーブルの真ん中に二年生、玄関側に三年生、そして二階の階段に近い方に一年生という感じだ。 まだ階段から降りたりしている一年生達と比べ、二年生三年生はあらかた集まっていた。 「腹減ったなー」 「今日の献立分かるやついる?」 「明日提出の課題?終わってないわ……、今日は徹夜だな」 二年三年の寮生達は思い思いに話していた。 どうしようかと目を合わせているニオとルーマスの方を見た、テーブルの脇に立っていたスラエは「一年生の席はそっちね。というかなんであんた達シャワー室の方から出てきたの?」一年生のテーブルを指さしながら不思議そうな顔をする。 「ちょっと寮の中を見てまして」 「そうそう」 「シャワー室とか後で説明するつもりだったんだけどせっかちねあんた達は。ほらとりあえず座んな」スラエの指示通り二人は一年生のテーブルへ向かい座った。それからまもなくして他の一年生も着席した。 スラエが「はいじゃあみんな揃ったわね!」と声を張り視線を自分へ集中させた。 「基本的にはこんな感じで全員が揃ってから朝食だったり夕食だったりするから遅刻は厳禁よ。わかったかしら?」 頷く一年生達を見てスラエは「よし」と言って両手を打ち合わせる。 瞬間、寮生達が座るテーブル全てに青い光と共に陣が浮かぶ。 すぐさま寮生達全員の目の前に食事が現れた。 赤いトマトソースと和えられたパスタにドレッシングの掛かったサラダに小さなパン。 驚いた顔をしている一年生とは対照的に、いつものことだと二年生三年生は事もなげに食事を始める。 そんな上級生たちを見て一年生達もおずおずと食事に手を付けた。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加