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「なんとかやってますよ。異動してきた人も仕事早く覚えてくれたし」にっと笑う瀬戸さん。「でも、シュレッダーかける資料が溜まっていったり、ホワイトボードの貼り紙が減らなかったりするの見てると、あー箭内さんがそういうのやっててくれてたんだよなーとか思っちゃったり」
「そういえばその引き継ぎはしてなかったです」
「名もなき仕事っていうんですかね。箭内さん気が利くから。俺も見習わないとなーって」
そういう所に気付いてくれるのは瀬戸さんぐらいだ。褒められたくてやっていたわけではないが、言われて嬉しくないわけがない。思わず笑みが溢れた。それと同時に、やっぱり俺仕事好きだったな、と少し寂しくもなった。
「引っ越しの諸々は落ち着いたんですか」
「まだ少し残ってますけど、大体は」
「俺にできることあれば手伝いますよ」
「あー」と呟き、少し躊躇ってから「それじゃあ、免許の書き換えに」と言ってみた。「住所変更まだしてなくて」
「車出しますよ」瀬戸さんは言って熱めのお茶を何回かに分けて飲み干し立ち上がった。
「すみません、運転係させちゃって」
「いやいや全然いいんです。この周辺ドライブしてみたかったし」
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