テレポーテーションは実在した!? 軽四輪車ホンダ「N-VAN」

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 車に乗りシートベルトを掛けながら「瀬戸さんってドライブ好きなんですか」と訊ねた。瀬戸さんはエンジンを掛け「そうですねー」と答えた。 「なんか、車のこの空間が好きなんですよね」 「へえ」 「長い距離走るのもそんなに辛くないし。電車とかバスとかよりも好きかな」 「格好いいですね」 「えー、そうですかー?」と言いつつも嬉しそうにへへへ、と笑う瀬戸さん。ふにゃふにゃした笑顔が子どもっぽい。いつでもにこにこしている印象のある人だが、こうやって笑うのを知ったのは最近だ。退職する前からもっとたくさん話してみれば良かった。  瀬戸さんのおかげで無事福島市街地の免許センターで住所変更の手続きを終え、裏面に新しい住所が書き加えられた。とりあえず安心した。家に戻ってまた少しお茶を飲んで会話をし、瀬戸さんは帰っていった。  本当に、名産品を受け取るぐらいしかしなかった。あと免許の書き換え。そのためだけにあの長い距離を移動してきてくれたんだなと思うと申し訳ないし、それと同じくらい嬉しかった。
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