驚愕!ミステリースポット「千貫森」と友好的異星人「U-タン」の導き

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「やっぱり。他のお菓子も食べてみたいなーって思ってたんです」 「あ、でも」と俺は言った。「お店ではもうお菓子売ってなくて」 「そうなんですか」 「スーパーとか、物産館とかで売ってる分しか作ってないみたいなんだよな」 「へー」と少し残念そうな顔をする瀬戸さん。こんな寂れた商店街で売るよりも、多少は賑わうスーパー等に置いてもらう方が儲けになるのだろう。でも確かに、気に入ったお菓子の袋に住所が書いてあれば行ってみたいと思うよな。 「瀬戸さんって、お菓子好きなんですか」 「え?あー、そうですね。好きかも」と瀬戸さんは照れたように笑う。 「仕事中お菓子よくくれたから」 「あれはコンビニで余計に買っちゃったのばら撒いてるだけで」   「でもあれ嬉しかったです。頑張った時のご褒美って感じで」 「へへへ、喜んでもらえてたなら良かったです」  瀬戸さんは絶妙なタイミングで気遣いのできる人だ。そろそろ休憩しようかなと思っている頃にお菓子を持って来るし、ピリピリした空気の時でも良い雰囲気になるように声を掛けてくれる。非常勤で働いているのが勿体ないと思う一方、これ以上頑張らせたくないと心配もしてしまう。仕事中は周りに気を遣って、休みの日は俺のメンタルケアか。何だか申し訳ない。
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