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商店街では辛うじて「町」の体裁を保っていた景色も、山に近付くと田舎の雰囲気が強まる。「ようこそ!千貫森公園へ」と書かれた木製の看板の横からは銀色の宇宙人がひょっこり顔を出していた。道路脇にN-VANを寄せた瀬戸さんがスマートフォンで写真を撮っていた。
「箭内さんはここ来たことあるんですか」
「はい、何回かは」
ダラダラと続く坂道を上ると左手にピンク色っぽい建物が見えた。こちらがUFOふれあい館。道路を挟んで反対側には物産館がある。今日は平日ということもあって人は少ない。駐車場にN-VANを駐めて外に出た。
「どこから行くのがいいんですかね」
「個人的には」と前置きをして俺は答える。「山を先に上る方がいいです」
「千貫森ってやつですか」
「はい。UFOふれあい館の2階にお風呂があるので」
「へー」
そう、この施設、UFOに関する展示の他に入浴施設も併設されている。温泉ではなく、沸かし湯。一体何故ここに?とも思うが、地元民は銭湯感覚で利用していたりする。俺も家の風呂場をリフォームした時に何度か入りにきた。
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