驚愕!ミステリースポット「千貫森」と友好的異星人「U-タン」の導き

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「なんかあったの?」奥さんの方が訊ねた。瀬戸さんが黙って首を横に振った。俺は「瀬戸さん」と声を掛けた。「そろそろ出ますか」と。 「ごめん。僕もう行くから」と瀬戸さんが踵を返す。野地が「あ、そういえばさ」と瀬戸さんの背中に声を掛けた。 「門脇さんとは会ってる?」  瀬戸さんの動きがピタリと止まった。目を少しキョロキョロさせてから「会ってない」と答えた。すぐに歩き出す。野地は「なんだよ、あんな仲良かったのに」と言ったが瀬戸さんはそれには答えなかった。  外に出た瀬戸さんは俯いたまま「すみませんでした」と小さな声で言った。 「俺は全然」と首を横に振った。それから「あと、震災の話題出ても俺のことは気にしなくていいですから」と付け加えた。それだけは主張しておきたかった。 「そうですよね、すみません」 「謝らなくていいです」  正午を過ぎて腹が減っていた。ここで何か食べても良かったが、瀬戸さんの気分が乗らないのなら仕方がない。車に戻って駐車場を出た。
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