テレポーテーションは実在した!? 軽四輪車ホンダ「N-VAN」

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 駐車場に止まったグレーのN-VANが瀬戸さんの愛車だ。「好きな所乗ってください」と言われ助手席に座った。運転席に乗った瀬戸さんがシートベルトを締めながら「これ開けてないんでどうぞ」とペットボトルを俺の膝の上に乗せた。  発進してから「で、福島のどこでしたっけ」と瀬戸さんに言われ慌ててグループホームに連絡を取って確認した。先ほどの電話で搬送先の病院まで教えてもらったはずなのに覚えていなかった。通話を終えた俺に瀬戸さんが「カーナビに病院の住所入れてもらえますか」と言った。「はい」と頷き画面に触れた。 「あ、これ運転中でも操作できるんだ」 「そういうふうに改造したんですよー」といつもの調子で瀬戸さんが言った。少し和んだ。彼が仕事の合間に話し掛けてくれる時は大抵こんな感じだ。職場全体の空気を読んで気を遣ってくれる。本当に助かる。レバーを操作する瀬戸さんの手を見て車がマニュアル車であることに気が付いた。ひとつひとつの動作が手慣れていて、普段から長距離ドライブをしているような様子が感じ取れる。格好いいな。
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