添い寝を頼む

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(風邪をひいたらどうするのだ。だいたいミアは薄着過ぎる。これは……私が用意した夜着ではないな。あんな肌が透けそうなもの持っていたのか? 花街の管理者が持たせたものか――ちっともわかっていない。ミアにはもっと上品なものが似合うというのに……)  ミアはニコラからたくさん服を買い与えられていたが、なかなか新しいものに袖を通そうとしなかった。体が丈夫だから寒くないとミアは言うが、ニコラはそれが心配でならない。 「では、休む前に、私に仕事をさせてください。私の()()でのご奉仕に抵抗があるのでしたら、まずは手で……」  ミアの頭を拭くためにタオルを持ってこようかと腰を浮かしかけたが、ミアの発言で、思わず動きを止める。 「ここ……? な、手……?」  役に立ちたいとは言っていたが、初めて具体的な部位を口にしたミアの言葉から、膨大な量の妄想が沸きだし、ニコラの脳を埋め尽くした。  ニコラは、いけないと知りつつ、ミアの指先を凝視してしまう。  綺麗に切り揃えた爪はよく磨かれて桜貝のようだ。 (……美しい)  娼館から手を引き連れ出した時の感触を思い出す。 (あの手は、物凄く華奢で、小さかった……)  ニコラは己の昂りがぐっと力を持つのを押さえられない。  自分の指先に視線が刺さったのがわかったのか、ミアは少し顔を赤くして胸の前で指を組む。 「ええと、わたしの手もお嫌いではないようで、何よりです……」  ミアは、ニコラの反応を見て身をすくめる。  ニコラに欲はある。欲はあるが、それとこれとは別の問題だ。 「ミア、君の手は美しい。それは紛れもない真実だ。だから一層、君の手を汚すわけにはいかないのだ」  ニコラにとって、ミアに奉仕される事は、ニコラの騎士道を汚すほどの意味があった。 「では、口で慰めさせてください」  ミアは更にニコラを殺そうとしてくる。  さっき近くで見てしまった柔らかそうな唇と桜色の舌が、想像の中のニコラを犯す。  ミアの唇を物欲しそうに見ているのがミアに筒抜けかもしれないのに、ニコラはそれを止められない。 「ぐっ……そんな背徳的な事は……」  ミアは、ニコラが腰かけている椅子の前にひざまずいた。 「ではどこなら? お許しいただける技を、ニコラ様の相手をされていた姐様から習ってきましょうか?」
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