添い寝を頼む

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 ニコラはミアに、寝台で同衾する所までは許していた。  しかし、寝台の端に居るように申し付けて、ニコラの中の規則では触れていいのは手までとしていた。それは潤いのない生活の中の、ギリギリでニコラの騎士道と折り合いがつく楽しみであった。  今まで、ニコラからミアに触れたことはない。  もちろんミアに性的な奉仕を望んだことも。  ニコラは禁忌を犯すような気持ちでミアを抱き寄せる。  小柄なミアをすっぽりと腕におさめて、ミアの甘く柔らかい香りを吸い込む。 (これは、堪らない……)  この柔らかさを貪ることが今夜だけは許されているかと思うと、ニコラは欲が出て、より近くまでミアを引き寄せた。  ニコラは先ほど揉みしだいた淡い膨らみをその身で味わうことになってしまう。 (あれは、良いものだった……ああ、当たっているな……)  少し、背に回した手の場所を変えて、ニコラの身体にミアの胸を密着させてみると、たまらない幸福がニコラを満たす。  密着した体と体の隙間を埋めるように、ニコラの硬くなった彼自身が柔らかいミアの腹を押し上げているのに気がつき、ミアは何とも言えない声をあげた。 「に、ニコラ様、こ、これ?」  怯えさせてはいまいかと、心配しながらニコラはミアの背を撫でる。 「言っただろう、君は愛らしいし、美しい。君に魅力がないなんてことはないのだよ。しかし、はぁ……これは堪らないな……」  艶めかしい息を吐くニコラの硬い強張りに、ミアは手を伸ばそうとする。  すると、ニコラは手を拘束するようにして、さらにミアをきつく抱き込む。 「ニコラ様、手を離してくださらないと、何もできません」 「何もするなと言っている。離したらミアはまたご奉仕だのと言い始めるだろう」 「だって、ニコラ様、これ、ガチガチじゃないですか! 駄目ですってば、どうにか致しましょうよ。ね、お辛いでしょう?」 (辛い。辛くないはずがない)  しかし、ニコラの騎士道には奉仕するという言葉はあっても、女性に奉仕させるというのは好ましくない言葉として刻まれている。 「君の仕事は添い寝だ。職務を全うしたまえ」 「え? 本気で言ってるのですか? 何のやせ我慢です? ちょっと、ニコラ様、本当に自由にしてくださいってば!」
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