相変わらず最低ですね。

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相変わらず最低ですね。

 ニコラは傷が癒えるまで自宅療養となった。  ニコラが仕事が出来ないなら自分が稼ぐと言い張って、ミアは騎士棟での仕事を続けている。  ニコラのいない間、オルカの捕縛まで、ギルドからロイ・アデルアが王子寮の監視に派遣されている。トラヴィスの監視を兼ねているとはいえ、本来なら近衛の仕事をギルドの者に任せるのは騎士の矜持に関わることではあった。しかし、今のニコラにはギルドに任せようという気持ちの方が大きかった。少なくともロイが城にいるのなら、これ以上ミアに危険が及ぶことはないだろう。    休んでいてくれとミアにしつこく願われた、にもかかわらず、ニコラは家を抜け出してギルドに来ていた。  堅固なギルドの建物はそれ自体が要塞の様な雰囲気がある。明らかにこの国伝統の建築様式ではないし、異国の文字が刻まれている所もある。  ギルドマスターの指示で刻まれたものだろうが、既存の文字でもないようだし、どこでこういった知識を得たのか、ニコラにも推測できない。  中に入れば椅子が置かれ、依頼人が何人も座って待っている。各々整理券を持って自分の順番が来るのを待っているようだ。  ニコラもそれに倣って、数字の書かれた紙を一枚受け取り、台に置かれた依頼申込書に記入する。ペンに紐が付けられていて、ペンが紛失しないようになっているのだろう。使ってみると紐が短くて書きにくい。  ニコラが要件を記入して、依頼人との仕切りになっている大理石のカウンターに用紙を提出すると、それを見た職員の顔色が変わる。  受付カウンターの女性が事務員を呼び、その事務員が別の係り員を呼び、職員たちのがざわつきはどんどん広がっていく。 「書類に不備があったのだろうか」  ニコラが申し訳なさそうにしていると、別室に呼ばれて、しばらく待たされることになった。  特に何かすることもなく、防音の効果のある艶の無い白い鉱物の仕切りの向こうに時々人の気配を感じながら小一時間が経つ。  職員に様子を聞いてみれば、ロイでなければタリムに依頼を担当して欲しいと希望を書いたのが原因のようだった。  更に待たされて、短くなった髪に寝癖をつけたタリムが機嫌が悪そうにやってきた。 「なんで私なんですか」 「事情をよく知った者に依頼しようと思ったのだが、生憎アデルア殿は城に出向しているというので。迷惑でしたでしょうか?」
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