相変わらず最低ですね。

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 ニコラは悩んでいた。強引に押し続けても、ミアはニコラを受け入れない。このままでは進展もないままにミアの年季が明けてしまう。 「別に結婚じゃなくてもいいですよね。花街の仕事は土下座でもして辞めてもらって、アディアール家で雇うとか、別の住み込みの仕事を紹介するとか、どうとでも」 「それも考えた。しかし、私がミアと離れて生きられない。ミアがどこにいても、あっという私が囲いこんで手を付けてしまうだろう。それならきちんと結婚していたほうがいい」  もう言っていることが無茶苦茶だと、タリムは頭を抱える。 「うっわぁ、騎士道、何処へ行った? 思いつめ方が特殊で気持ち悪い。そこは手を出さない方向にならないんですか」 「無理だ」  タリムはその場で足をバタバタさせた。 「一応確認ですけど、このやりとりってうちの兄にも、ロイにも筒抜けですよ。自白剤が使われるのはギルドの一大イベントですから。下手をすればギルドマスターから国王陛下まで伝言ゲームです」 「私は本気だ。ミアの年季が明けるまで時間がない。なりふり構っていられない時期に来ているのだ。花街で仕事をする者達を蔑める意図はない。ただ、ミアが花街に戻って誰かに蹂躙されることが耐えられないだけなのだ」 「だからって……」 「姫、お許しください、私は、ミアを愛してしまったのです!!」  ニコラはミアへの愛を叫んでテーブルを叩く。防音の為の衝立ての外にまで声が響いて、開け放たれたドアから通りかかった職員が部屋を覗き込む。 「わぁ。きもっ、うるさっ。ちょっと、ここでそういうのやめてください!」    タリムに嫌な顔をされて、ニコラは椅子に腰を落ち着ける。  ニコラは、自分がこれからすることが、望みの薄い足掻きだとよく心得ていた。それでも何かしないではいられない。 「ミアを花嫁として迎えるにしても、別の仕事を斡旋するにしても、シャーリー氏との間に一つ取り決めがあるのです」  シャーリーはそれを最も重いものだと言った。 「()()()()()です。ミア自身が結婚を快諾しない限り花街から連れ出すことはできません。ミアが言い出さない限り、私には手出しができないのです。何か理由があって、それを取り除いてどうにかなるなら、私は何を賭してもかまわない」
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