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姫に仕える、ありとあらゆる場面を想定して研鑽に励んできた為だ。それは寝室の中でのことも含まれる。
ニコラの好む、姫と騎士を主題とした艶本では、火照った姫の身体を騎士が慰める場面など、当たり前のように描かれている。
それを参考にしつつ、娼婦に頼み込んで練習させてもらってきたのは、きっとこういう場面の為に違いない。
大きな手が背中の方から股座に滑り込み、秘唇をなぞり通り過ぎたかと思えば、幾度か往復して、ミアの敏感な芽を掠める。
的確な鋭い快感がミアの身体を跳ねさせる。
「あっ……わたしは自分でできますから……んっ、捨ておいてください」
ミアは水揚げこそ済んでいなかったが、先輩娼婦からの研修を受けていた。
秘部を弄られて快感を得る練習もあったが、ニコラの巧みさがその比ではなかったことに驚愕した。
「私の願い出たことで、こんな事になってしまったのなら、私の責任だ」
こんな目も当てられないような場面なのに、ニコラの声はやけに落ち着いていて、本当にただ人助けをしているような語調を保っている。
「だからって……」
ニコラは必要以上にミアを辱めないように、快感が得やすい場所だけに的を絞って触れる。
そこにはニコラの欲は感じ取れない。
優しく頭を撫でられて、泣く子をあやす様な穏やかさでミアの快感をほじくり返す。
「んっ……あっ、あっ……や……っ……」
寝室にミアの押し殺した喘ぎ声と密かな水音だけが響く。
「どうだ? 苦しくないか?」
甘い毒のような囁きで、はっと、ニコラに奉仕されていることに気がついたミアは、ニコラの腕から逃れようと身をよじる。
「ニコラ様、こんなの駄目です……わたしには何もさせてくれないのに……」
もう、指に翻弄されていて、ニコラにすがるしかないというのに、一生懸命何かを主張しようとするミアが愛らしい。
冷静を装ってミアを慰めるつもりだったのに、心臓を掴まれたような切なさに、うっかり欲をぶつけてしまいそうになり、ニコラは頬の裏側の肉を噛んで耐えた。
「ミアはそんなことしなくていい。何度言ったら分かってくれるのだ」
指先に触れる小さな尖った芽を傷つけないように気を付けて摘まみ上げると、面白い程にミアは嬌声をあげる。
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