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「そうです。高く売れるうちに売らないと。わたしの所有しているもので一番換金率が良いものですから」
ミアの頭の中では、明日からの労働行程が巡っているようで、まるで予定を話すように言う。
「ミア、頼むから、そんなことを言いださないでくれ。これまで通り、ここで安楽に暮らせばいいではないか」
ニコラにとってはそれこそがミアを慈しむ方法だったし、そうして世話する事によって健康そうになっていくミアを見て幸福を感じていた。
「そんなの、困ります」
ミアはふるふると首を振る。艶の増した薄い色の金髪が濡れて束になって揺れて、今にも綺麗な音を奏でそうなほどだ。
「うむ、仕事だな……では、仕事があれば納得するのか?」
「そうですね、ただのうのうと養われているよりは幾分気が楽です」
ニコラは腕を組み、しばし考えた。
「それでは、どうだろう、昼間どこかに働きに出るというのは?」
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